漆黒の合理を拒む、「白」という名の反骨。

世はまさに、eBike戦国時代。街を見渡せば、右も左も「マットブラック」のフレームが闊歩している。
確かに黒は理に適っている。バッテリーの肥大化を視覚的に引き締め、汚れを隠し、どんな服にもそれなりに馴染む。それは「道具」としての正解であり、失敗しないための無難な選択だ。しかし、そこには作り手の体温や、所有する昂揚感といった「センス」の入り込む隙間が、驚くほど少ない。
そんな画一的なトレンドに、真っ向から「NO」を突きつけるブランドがある。

XTECH(クロステック)が掲げるのは、全車コンセプトカラーである「スノーパールホワイト」という、あまりにも潔い独裁だ。「めんどくさい」は、ラグジュアリーの別名である。

スノーパールホワイトの塗装は、製造現場からすれば「狂気」に近い。通常のホワイトの上にパール層を重ね、さらにクリアで封じ込める3コート。フレームの複雑な曲面に均一な輝きを宿らせるには、熟練の職人による執拗なまでの手間を要する。少しの油断でムラが浮き、一箇所の傷が命取りになる。効率を正義とする現代のモノづくりにおいて、これほど「めんどくさい」仕事はないだろう。

だが、XTECHはその面倒を「美徳」と定義する。なぜなら、マット塗装が下地の粗を「隠す」ための手段であるのに対し、パールホワイトはフレームの造形美を「晒す」ための鏡だからだ。溶接跡の滑らかさ、面構成の美しさ。それらに絶対的な自信がなければ、この色は選べない。

景色を塗り替える、圧倒的な「白」
「ラグジュアリー&スポーツ」を標榜する彼らにとって、この白は単なる色ではない。
都会のコンクリートジャングルを駆け抜けるときは洗練されたファッションの延長として、そして八ヶ岳や白馬の峻険な峠を攻めるときは、自然の光を乱反射させる躍動の象徴として機能する。

汚れることを厭わず、手入れのひと手間すらも愉悦に変えてしまう。そんなオーナーの精神性までもを見越した設計思想は、合理性の影に隠れたマットブラックには決して真似のできない領域だ。

「とりあえずの黒」で満足するか、それとも「覚悟の白」を纏うか。XTECHが提示するのは、単なる移動手段としての自転車ではない。それは、効率という名の退屈を切り裂く、最高にエレガントな反逆の形なのである。